恋の相手はメイド君!?

『千尋君、ホンマに家におるん?』


皐月の台詞が、頭の中に蘇った。



千尋は今出かけた。


もしかして、毎日出かけてるのかな?


いや、千尋だって用事はあるから、怪しむことじゃないはずだ。


でも気になることがある。


千尋の持っている大きな鞄。


旅行にもつかえそうほど大きな鞄には、着替えなどを入れていたはず。


それを持って、わざわざ出かけるの?



「あ、着替えの交換かも」


一番確率が高い考えに辿りついた。



駐車場に車を停めて、急いで千尋の後を追うことにした。



ある程度距離をとって、千尋の後をつけていると、まるで探偵になった気分だ。



そんな浮かれてもいられないか……。




駅に辿りついた千尋は、あたしが聞いていた千尋の家がある方向とは逆に向かう電車に乗った。



あれれ?


どうやら家に帰るわけじゃないみたいだ。


慌てて、あたしも乗る。


案外人がいるおかげで、千尋と同じ車両に乗ってみたけどバレはしない。



人はいても席は沢山空いているのに、座る様子がない。


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