恋の相手はメイド君!?
うるむ瞳は、真っ直ぐ千尋の姿を捕えてる。


カッコイイ横顔に笑顔が浮かんでるけど、それはあたしに向けてじゃない。



暫く後をつけていくと、二人は高級そうなホテルに入って行った。



ああ、もう納得するしかないんだ。



男女が肩を並べてホテルに入って、熱いサービスで体力のいることなんて。


あたしの無い頭では、何をするのか一つしか思い当たらない。




我慢していた涙が一気に溢れだした。



ポロポロと涙が流れる度に、惨めになる。



行き交う人の肩が何度か肩にぶつかり、何人目かの肩が当たった時、あたしは体制を保つことが出来なかった。



「あぶねぇなっ」


「…………」




汚れたアスファルトの上に、小さな染みがいくつも浮かぶ。



「…っ…うっ……」


もう、終わった。


あたしの二度目の恋も、とんだ結末を迎えてしまった。



大好きな千尋に浮気されたとかでもなく、あたしは利用されただけなんだ。




あたしも、あの人みたいなお客さんの一人だったんだ。



「…うーっ…っづ…」
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