恋の相手はメイド君!?
これに、欄がいなくなったわけが書かれているかもしれない。



どうして急に俺の前から姿を消したのか。



手紙を広げる瞬間、珍しく心臓がざわめきたった。



こんなに動揺したのは、いつぶりだろう。



いったん、一息つこう。



ふぅー……。



手紙を、ゆっくりと広げる。



真っ白な紙の上には――。


















―ありがとう―



たった、一行だけが書かれてあった。


ギュッと手紙を握りしめる。



「……なんやねんっ」


いったい、どういう意味だ。


ありがとうって、たったそれだけ。


これじゃあ、欄がいなくなったわけも、捜しだす統べすら見つからない。


苛々する。


欄は何を考えてんだ。



「どうかした?」


呑気に煙草を吸いながら、俺のスケジュールを見ている麻子に聞かれる。


だけど、答える余裕なんて今の俺にはない。



ワシャワシャと髪をかきむしり、荒々しくソファーに座る。


なんか……ムカつく。


何も言わずいなくなるなんて、どういう神経してんだつーの。



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