恋の相手はメイド君!?
何かに当たらずにはいられなくて、間近にあった机を蹴ってしまった。



ガシャン! と、けたたましい音が響き、麻子の目がギョッと開く。



「ちょっとちょっと!
いったいどうしたのよ?」

「なんもあらへんわっ」


「そんなに苛々して、何もないわけないやろ?」



クソッ。

わけがわからず苛々して仕方ない。


麻子は何度もわけを聞いてくるが、言ったからといって、どうにかなる問題でもないからいわなかった。







「……ちょー、外出てくるわ」


「なっ、あんた仕事はどうすんのよっ!?

いっぱい予約入ってんのよ!!」



出て行こうとする俺を引き留める麻子。


予約?



「んなもん知るかっ。
ごっつムカつくから、仕事どころちゃう」



仕事を放棄したのなんて初めてだ。


俺がこんなに荒れてしまうのは、全て欄のせいだ。


欄が、俺の前から消えたりするから……。




麻子を押し切り、近所の公園に来た。


大好きな子供たちを見ても、心が休まらない。


ドキドキと荒くなるばかりで、何度も頭をかきむしる。
< 186 / 253 >

この作品をシェア

pagetop