恋の相手はメイド君!?
投げ出した足をぼんやりと見つめていると、視界の中に真っ赤な靴が見えた。


――女?




「あんたが、千尋君?」


は? 誰だよ?


目線だけを声の主に向けると、腕を組んだ態度の大きい、だけど小さな女が俺を見下ろしていた。



「えらい、派手な靴やね」

「第一声がそれかいな」


第一印象がそうだったからだよ。


態度のデカイ女と言うより増しだろうよ。


一応気をつかったつもりだ。



「それで、あんた誰や?」

「皐月。 欄の友達」


欄の……友達。


友達が、俺に何のようだ?

怪しむように見つめると、皐月と言った女は、遠慮もなく俺の隣に座った。



欄よりも小柄だが、欄よりも気が強そうに見えた。



「大きなお世話か思ってんけどね、どうしも言いたいことあったんや」


「俺に?」


「そ。 欄が大好きな、千尋君とやらを見てみたいってのもある」


真っ直ぐ前を見つめたまま話す彼女を、俺はただ見ていた。


実感がわかない。


欄が大好きな。


違うだろう。


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