恋の相手はメイド君!?
「好きや……ないやろ」


俺はまた地に視線を向けた。


彼女の視線を感じたのはほぼ同時だっただろう。



「俺は好かれてへんよ。
あいつ、おらんなってもうたしな……」



彼女の言う通り、欄が俺を好きだったなら、どうしていなくなる必要がある。


いくら待っても帰ってこず、何度電話をかけても応答がない。



その上、あの手紙……。



「欄は……、あんたに惚れてるよ。

毎日あんたの話きかされてて、耳にたこできるか思うたもん」


「毎日?」


「めっちゃイケメンなメイドが出来た。
から始まって、好きになった、千尋君のあれが好き、これが好き。

こんなんあって嬉しかった、どうやったら振り向かせられるか。

毎日そんな内容ばっかや」


淡々と話しているのが、信じていいものか疑いたくなる。


それが本当にしろ、彼女は俺に何が言いたいんだ。



「欄はな、あほやし臆病で不器用なんよ。

それでも、あんたに惚れて一生懸命やって、女のあたしから見ても可愛い女やわ」


一風が彼女の髪を舞い上がらせる。


髪で隠れる前に、一瞬笑ったように見えた。

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