恋の相手はメイド君!?
文句も書いて、女々しいけど好きだったよと伝えて……て、しようと思ってたのに。


おかしいものだ。



あたしが書けたのは、白い紙の上にたった一行だけだった。




いっぱい書いてやろうと思うと、胸がはりさけそうになって、涙で目が霞んだの。



だから、書きたくても書けなかった。



ペンを握る手すら、ユラユラかすんで見えた。


髪の上に、ポタポタと幾つもの染みが出来ては、白い紙に跡を残す。



書けないから、だったら最後のお別れの言葉でも書こう。



さようなら。


て、書けば、二人はもう完全に終わるよね。


後腐れなんてない。



なのに――。


















―ありがとう―


あたしは、そう書いた。


ムカつくのに、嫌いになりたいのに。


嫌いにはなれなくて、感謝までしてしまう。



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