恋の相手はメイド君!?
やっぱり、千尋の存在は大きかったから。


先輩に遊ばれて、何もかもやる気のなくしたあたしに、千尋はもう一度恋を教えてくれたの。



もう傷つきたくなくて、いっぱい泣いていたあたしを、面倒なはずなのに、毎日優しく頭を撫でてくれた。


あたしが泣き疲れて眠るまで、その温もりは消えなかった。



あの温もりが、あの時のあたしを、どれほど救ってくれたか。



男なんて信用できない。


男なんて怖い。



そんな想いごと、千尋は全て取り去ってくれたから。


だから、やっぱり千尋へ贈る最後の言葉にふさわしいのは『ありがとう』が、一番良い。




あたしに勇気をくれて。


あたしに温もりをくれて。

あたしを愛してくれて。



それが偽りだったとしても、その偽りの瞬間は確かに幸せだったから。



だから、ありがとう。















泣いて泣いて泣いて。


飲んでわめいて騒いで。



もう充分だろう。



「あんた、いつ帰るん?」

「おったらあかんの?」


思い出していて、また涙ぐんだ時、煎餅をボリボリ食べる母さんに現実へと戻された。

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