恋の相手はメイド君!?
「邪魔やもん。
早く帰って仕事いけ」


これが傷付いた娘への言葉か。


まぁ、何で帰って来たのかは教えてないけどさ。


でも、まだ2日しかいない。



だったら、まだいてもいいんじゃないのか。




「後一つ、早く帰ってほしいことがあんのよねぇ」


「なによ?」



そんなに追い出したいのか、鬼婆め。


顎をコタツの上に置いたまま、煎餅に手を伸ばした。


ああ、行儀悪いな。


でも寒いから、丸くなって暖まりたいんだもん。



ボリッと煎餅を割って、片方を口にくわえ、もう片方を手に持ったまま、その手をあたしの背後に向けたお母さん。



あたしの後ろには、先程までいた縁側、つまり小さいけど庭がある。


いったい、なんですか。




「さっきから、家垣から顔を覗かせている、えらい男前の兄ちゃんがおってな。
あたしには、あれはあんたが連れてきた幽霊ちゃうかって恐ろしいのよ」



は? 幽霊?


それは、ただの不審者ではないのでしょうか。


でも、お母さんの言った男前の兄ちゃんが気になった。



…………まさかね。

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