恋の相手はメイド君!?
本当の理由
冷たい風が、いつの間にか濡れた頬をひんやりさせた。
よく考えてみれば、あたしってダサいね。
これが最後だっていうのに
千尋の目に映るあたしは、部屋着姿で
ボサボサの頭で
足下はサンダル。
千尋の前では、いつも綺麗でいたかったのに。
「可愛いね」
て、言われたいのに。
最後の最後で、とんでもなくダサくて惨めな自分を見せてしまった。
「もう、ええよ……。
あたし、千尋のこと忘れるから…」
惨めだけど、
それでも、最後は笑顔を見せようとした。
だって、千尋の中の最後のあたしは笑顔でいたかったから。
泣いた顔じゃなくて、笑顔を覚えていてほしい――。