恋の相手はメイド君!?
「そんな時、社長からクリスマスの企画が出て、俺もその仕事を引き受けた。

んで、行ってみたらビックリや。

まさか、バーで興味を惹かれた欄の担当になるなんてって」



偶然が導いた、二人のあかしな関係。


あたしは、千尋のことを、千尋がやってきた朝に知ったのに

千尋は、もっと前に知っていたんだ。



なんか、変な感じだ。



「何で男がおる女が、メイドなんか応募したんやって思うたけど。

欄とおったら、訳もわかって

毎日泣く欄を見て、あいつを想って泣く欄を見て――

俺が、側にいたいて思ったんや」



背中に回っていた千尋の温もりが、外側だけじゃなく
心の中にも浸透しはじめた。



このまま、

このまま、ずっと抱き合っていられたら


千尋の言葉が、全て本当だと信じることが出来たら。


瞼を綴じたら、瞼の裏が熱くなってくる。


また、涙が溢れた。



「千尋……、ありがとう」

やっぱり、千尋には感謝の気持ちでいっぱいになる。

千尋の腕を退けさせて、泣き顔を見られないように背中を向けた。


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