恋の相手はメイド君!?
キュッて唇を噛む。
噛んでいないと、いますぐにでも叫んでしまいそうだったから。
千尋もキョロキョロと視線を動かし、やたら落ち着きがなくなって。
今の空気は、嫌なものじゃなくなった。
ギスギスしたものはない。
「なぁ――」
決心したように、千尋が口を開いた。
「もう一回、俺を信じてくれんか。
また、欄の側におらせてくれや」
顔を真っ赤にさせた千尋を、まじまじと見つめる。
信じてくれ――。
そんな子犬みたいな表情で、いつも、堂々としていた千尋が弱々しく見えて。
あたしを必要としてくれている人がいる。
好きだと言ってくれる人がいる。