恋の相手はメイド君!?
これって、ある意味プロポーズかも。


ニタァと、ニヤける顔を左右に振った。


いやいや!

仲直りしたてだし

まだ出会って、一月ほどだよっ。


プロポーズって、いくらなんでも気が早いよ。


あたしは、嬉しいけど。




全く気をつかわないお母さんは、コタツに入ったままだった。


千尋は、畳の上に正座して頭を下げているというのに。



こんなんでいいのか、お母さんよ……。



「千尋君、言うたな」


「はい」


「千尋君は、欄と結婚したいんか?」


面と向かって聞かれた千尋は、暫く固まっていた。


ふぅ、と息を吐いて、お母さんを真っ直ぐ見た。



「今はまだ……、俺にそんな資格がありません。

やけど、いつか
俺が、欄さんを支えていける自信がついたら

その時、また挨拶しに来ます」



真面目な表情で、ちゃんとした口調で千尋は

確かに、そう言った。



感激しすぎて、胸がいっぱいになる。


お母さんの前では泣きたくなくて、我慢した。



「――うちの子を、よろしくお願いします」


お母さんは、穏やかに微笑んでいた。

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