恋の相手はメイド君!?
「別れようか。

今は、仕事だけ集中したい」


そう言われるだろうと、薄々感付いていた。


最近は、毎日一緒に家に帰っていたのに

千尋が待つ部屋に、麻子は帰ってこなくなった。



「わかった」


麻子は好きだ。

だけど、麻子には気持ちがない。


そう分かる態度を示す麻子に、自分が粘ってみたところで何も変わらない。


それどころか、険悪になるだけだろう。



「千尋は頼りにしとるから、あたしの片腕として頑張ってや」


気の強い女だ。


傲慢で自己チューで、そんな麻子だからこそ

ここまで、頑張ってこれたんだろうけど。


だけど、尽くしてきても

やはり、別れが訪れた。



「アホらしー……」


麻子と別れて、会社の寮での生活が始まった。


毎日毎日、麻子を忘れるためにがむしゃらに働いた。

別れても、必要とされている。


それが、千尋には救いでもあり
すがりついているものでもあった。



必要とされなくなったら

その時こそ、俺の価値は顔だけになる……。



それが嫌で、身体を張って仕事した。



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