恋の相手はメイド君!?
若いうちは、寝なくても働ける。


そんなことを、誰かに言われたことがあった。


確かに、仕事と寝るだけの生活のほうが千尋には楽だったから

他に何も考えなくて済む。



それに、仕事中は誰かに必要とされていたから

望んで働いていた。



だが、いくら若くても働き詰めの身体には疲労が溜ってしたみたいだ。



「だりぃ」


風邪でもひいたらしい。

一人きりの部屋で、額に手を当てると熱っぽかった。


麻子に電話をすると、客に移したらいけないということで
暫く休みをもらうことになった。



何年ぶりに、こんなにのんびり時間が過ぎるのを感じたか。


完璧主義者の千尋は、忙しい日々の中でも
部屋の掃除などはおこたらなかった。



だから、やることがない。

熱があるといっても、千尋にとって、ただ寝ているだけで1日を終らすのは苦痛だった。


動きたい。

何かしたい。


こんな時は、久しぶりに母親にでも会いに行くかと、服を着替えて寮を出た。


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