恋の相手はメイド君!?
都心からちょっと離れた場所に、千尋の母親が住むマンションがある。


今日は平日。


きっと、母親は仕事で家にいないだろう。



帰ってくるまでに、家のことをして、手料理でも作って待っていよう。



合鍵で部屋に入り、リビングに行くと

千尋は、溜め息を吐いた。



「やっぱり……」


リビングは、服や雑誌などで溢れかえり足の踏み場がない。



母親は昔から家事などが苦手だった。


だから、母親を助けるためと構ってほしいのもあり、千尋は家事を覚えたのだ。


家を出る時心配だった。


自分がいなくなったら、母親にまともな生活が出来るだろうかと。



しわくちゃのブラウスを持ち上げ、また溜め息。



「やっぱり、あかんかったか」


仕事人間ていうのは、皆こんなに雑なのか。


母親も麻子も、仕事には抜け目ないのに
家のことはもっぱら駄目なようだ。



とりあえず片付けて、洗濯と掃除……。


順番を考えていた千尋は、ハッとなりキッチンへ走った。



リビングがこの状況なら、まさかキッチンまで……。
< 234 / 253 >

この作品をシェア

pagetop