恋の相手はメイド君!?
「これ、君のやない?」
「え?」
仕事中、例のイケメン先輩に声をかけられた。
笑顔の彼は、どんな女でも落としてしまいそうなほどカッコイイ。
興味はないけど、やはりイケメンには見惚れてしまう。
ボーッと、見上げる欄に、彼はペンを差し出した。
「さっき、落としたで。
気が付かんかったか?」
見覚えがある。
ピンクの熊さんが描かれたボールペンを見ながら、手は胸元のポケットを探る。
………ない。
「あたしのです。
ごめんなさい、わざわざ」
「間違ってるな」
「はい?」
「今のは、謝るとこやなくて礼を言うとこやろ!」
「あ……」
ホンマや。
拾って貰ったんやから、ごめんなさいやないか。
「ありがとうございました」
改めてお礼を言うと、彼は欄の肩をポンポンと二度叩いた。
「それでよし!
ほな、仕事してください」
彼が去った後、欄は叩かれた左肩に触れてみる。
男の人に、初めて触れられた。
しかも、あんなカッコイイ人に。