恋の相手はメイド君!?

「これ、君のやない?」

「え?」


仕事中、例のイケメン先輩に声をかけられた。


笑顔の彼は、どんな女でも落としてしまいそうなほどカッコイイ。


興味はないけど、やはりイケメンには見惚れてしまう。



ボーッと、見上げる欄に、彼はペンを差し出した。



「さっき、落としたで。
気が付かんかったか?」


見覚えがある。

ピンクの熊さんが描かれたボールペンを見ながら、手は胸元のポケットを探る。



………ない。



「あたしのです。
ごめんなさい、わざわざ」


「間違ってるな」



「はい?」


「今のは、謝るとこやなくて礼を言うとこやろ!」


「あ……」



ホンマや。


拾って貰ったんやから、ごめんなさいやないか。




「ありがとうございました」


改めてお礼を言うと、彼は欄の肩をポンポンと二度叩いた。



「それでよし!
ほな、仕事してください」


彼が去った後、欄は叩かれた左肩に触れてみる。




男の人に、初めて触れられた。


しかも、あんなカッコイイ人に。



< 244 / 253 >

この作品をシェア

pagetop