恋の相手はメイド君!?
気がつけば、頬に熱が集まっていた。


まさか……ね。




でも、そのまさかは的中した。


気が付けば、欄の目は先輩を追いかけている。


欄の心には、いつの間にか彼が住み着いてしまっていた。






「初恋が、先輩って難易度高いなぁ」


仕事帰り、行きつけの居酒屋で皐月に告白すると

皐月は、焼き鳥を摘みながら言う。



確かに、先輩はモテる。


到底、付き合えるはずがないだろう。



「ただ、好きなだけやから」


見ているだけでもいい。


それだけで、幸せだった。


たまに、仕事で話せたら嬉しいし。

食堂で笑顔の先輩を見ているだけで、嫌なことも忘れられた。



贅沢は望まない。



「それでええの?」


「うん」


「ふーん。
あたしなら、絶対嫌やね。
だって、好きやのに見てるだけやろ。
もし彼女なんか出来たら、告白せんかった自分を悔やむわぁ」



彼女が出来たら……。



そうか、今はいなくても、先輩はモテる。


いつかは、彼女が出来るんだ。


グサリと複雑な思いが広がる。


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