恋の相手はメイド君!?
だいたい、あたしたちはタメなんだし。


たまに使う敬語とかも、わざとらしくて止めてほしいと千尋にお願いしてみた。


だけど、千尋は眉を潜めて考え込んでいて、あたしは何か不味い事を言ったのかと思った。



「千尋?」


「んー、やっぱり無理やねそれは」


目線を合わせようとしない千尋の顔を覗く。


すると、シュンとしたまま続けて話してくれた。



「やっぱり、俺はメイドとして此処にいて、欄さんに尽くす目的やから、ご主人様は絶対なんや」


「でも、何か変な感じする」


「直ぐに慣れるて」


いや、今も慣れなきゃこの先慣れることはないと思う。



この先?


あたしと千尋に、この先ってあるの?


ふと思った、千尋はクリスマスまで、あたしに尽くしてくれると言った。


じゃあ、クリスマスが終われば千尋はいなくなるってこと?


「そんな事より、早よ食べて下さい?」


「あ……うん」


美味しいはずの食事も、何か美味しく感じない。


あたしは、寂しいと感じてしまった。


千尋とは、この先がないとわかった途端、クリスマスがもっと先だったらいいのになんて思ってしまう。
< 27 / 253 >

この作品をシェア

pagetop