恋の相手はメイド君!?
背を屈めて、浴槽に手をつくと、ブクブクと泡を立てているあたしの髪を撫でてきた。


長い指が、濡れた髪を掬う。



「照れんでも、俺は欄さんの裸全部見てるよ?」



「…ッツ…!」


何を言うんだ!


上目使いで見上げられて、お湯の熱さとは違った熱を身体に感じた。


裸を見たって、きっと最初の夜のことなんだろう。



あたしたち、すっ裸でベッドに寝ていたし。



「あの時は、記憶にないからっ!
今は状況がちゃうから、駄目なん!」


「うーん、でもなぁ。
俺は、欄さんに朝も夜も尽くすってなっとるし」


「ど、どういう意味っ?」


滑る足で何とか一番隅に寄ったけど、やっぱりまだ不安。


いい加減、上せてしまう。

早く出て行ってほしくて、千尋を睨んでやったけど、千尋は笑顔を浮かべていた。



「どうもこうも、そのまんまや。

朝も夜も、ご主人様に尽くすねんよ?」



また、あの笑顔だ。


女を惑わしてしまうような、甘くて妖しい笑顔。





「夜は、男として、欄さんを満足させてあげる」


「……ツ…」
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