恋の相手はメイド君!?
懸賞でたまたま、あたしのところへやってきた千尋。

千尋からしたら、一週間面倒を見るだけだったんだ。

だけど、タイミングが悪かった。


あたしが先輩に振られたばかりだったから、千尋は凄く気を使ったに違いない。


毎晩先輩を思いだしては泣く女なんて……男からしたら鬱陶しいよね。



でも仕事だから、耐えてくれたんだと思う。



「千尋には感謝しとる。
千尋がおったから、あたしは先輩のこと忘れるまではいかんけど、辛さは紛れたしな」


「それだけ?」


「んー?」



ビールが温くなってきたなぁと、とんちかんなことを考えいたら、皐月が真顔であたしを見てきた。


「それでいいん?」


「なにが?」


今にも掴みかかってきそうな勢いの皐月に、たじろく。


皐月は、真っ直ぐあたしの目を見て口を開いた。



「後悔せんのやな?
中途半端な仕事した男やけど、それでも欄を支えてくれたんや。

あんたは、その人を好きになった。 ちゃう?」



真っ直ぐに見つめてくる皐月から目を反らしてしまう。


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