恋の相手はメイド君!?
飛び込んで来た千尋と入れ違いに、ベッドから出たあたしは、身体の抱きしめながら千尋を見た。



ニヤリッと笑っている。



あれ? あれれ?



「ようやく起きた。
よし、これで俺の仕事一つしゅーうりょーう!

さぁ、朝飯やっ!」


「おーい、千尋君」


「なに?」



笑顔でベッドから立ち上がった千尋は、ボタンをしめ直して振り向く。



「もっと心臓に優しい起こし方あらへん?」



千尋はね、あたしのモロヒットのイケメンなんだからさ、あんなことされたらヤバイじゃない。



そこんとこ、もっと理解してほしいもんだよ。



「う〜ん、じゃあ……」


何で、あなたは顔を近づけてくるのですか?


遠慮なく近づく美顔を見続けることが出来ずに、ギュッと瞼をとじた。



あ、良い香りがする。


鼻を擽る甘いシャンプーの香り……が、顔の横を通りすぎた。



「ほな、明日からはお姫様のように起こしたるわ」


「ふやぁ〜……」


耳に息がかかり、フヤフヤと力が抜けていく。



「さっ、今度こそ朝飯や」

……てか、お姫様のような起こし方って、いったいどんなだ?

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