素直に
 しばらく読み進めていたが、やがて、


「相当勉強しないとな」


 と言い、改めて大学院試験の難しさを感じた。


 付け焼刃じゃ通用しないと思い、これから先、まずは英語の勉強をすることを考え付く。


 専門のドイツ文学の問題の方も見てみたのだが、論述形式で、あるテーマに即して八百字程度で意見を述べよというものだった。


 この手の試験形式は今まで何度もあったので楽だ。


 僕自身、専門分野なら十分こなせる。


 講義もちゃんと出席していたし、試験があるのは四年生の後期が終わった後なので、まだ時間はかなりあった。


 僕は慧子とお茶を飲みながら、カフェの落ち着いた空間で勉強し続ける。


 店内は一際静かだった。


 音楽などは掛かっていなくて、ホントに学生の話し声だけが聞こえてくる。


 僕たちはその日、午後四時過ぎまでカフェにいた後、目などに幾分疲れを覚えていたの
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