素直に
 と彼女が返す。


 僕がカバンを持ったまま、リビングに座っていると、慧子が、


「今日は研究室に行くんでしょ?」


 と訊いてきた。


「ああ。まあな」


「栄司、最近疲れてない?」


「うん。ちょっと疲労が溜まってるかも」


「ずっと研究室に通ってたんでしょう?」


「そうだね。あと、家庭教師のバイトもあるし」


「どんな子の相手してるの?」


「ちょっと問題児なんだ。高校生なんだけど、不登校気味でね」


「もちろん進学させるんでしょう?」


「それがね……」
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