素直に
 僕は秋光大の文学部と、秋光大学よりも少しレベルの高い昭華(しょうか)大学の文学部に合格し、昭華大を蹴って秋光大に入学した。


 そしてそこで慧子と知り合う。


 何かが僕を運命付けたのだろうと思う。


 目には見えない何かが……。


 それにこの素晴らしい出会いに対し、感謝できる自分がいて……。


 僕たちは荷物を持ち、揃って部屋を出た。


 マンション外は冬に入ったばかりで、一際寒い。


 寒気が辺りを支配している。


 僕は改めて、初冬の寒さが身に沁みる思いがしていた。
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