素直に
第21章
     21
 僕たちが並んで部屋を出ると、辺り一帯はとても冷え込んでいる。


 やはり冬に入ったという感じだった。


 先日、学園祭は終わったようで、僕も慧子も結局行かないままだった。


 だけど、大学に勉強しに来ている学生は学園祭などつまらないと思うだろう。


 どうせ学内でミスコンをしたり、学生同士で組んでいるバンドなどが派手に曲を演奏したり、有名人が講演に来たりなどだから、だ。


 僕自身、何が面白いのか正直なところ、よく分からない。


 単にお祭り騒ぎするだけで、後は何もないからだ。


 慧子も同じように思っているようで、大学に入ってから一度も学園祭には足を運んだ事がない。


 まあ、確かに学部学科での飲み会などはあったにしても……。


 でも、それすら僕たちは嫌がっていた。


 コンパなどをしたところで、大賑わいするのは男性側だけだからである。

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