素直に
で、荷物の入ったリュックを持って立ち上がった。


 そして食べ終わったケーキ類の載っていた皿や、飲み物の入っていたカップを返し、店を出る。


 風が涼しい。


 僕たちはそれから夕食時まで、慧子のマンションで寛ぐつもりでいた。


 大学のすぐ近くに彼女のマンションがある。


 僕たちは互いに腕を組んで歩きながら、通りに秋の気配を感じ取った。


 一ヶ月前は緑色だった草木がすでに一部枯れてしまって、茶色になっている。


 それが秋の到来を感じさせた。


 僕たちは歩き続ける。


 学生街は何かと騒がしいのだが、それにも慣れてしまえば、平気なのだった。


 普段住んでいる街なのだから……。
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