素直に
 今時、ヤンキーなどという言葉は死語となりつつあるのだが、実際そういった連中もいるにはいて、つるんでいた。


 僕たちは別にそういった連中など眼中になくて、普通に朝起きれば身支度を整え、学内の研究室に詰める。


 その日も僕たちは通常通り学校に通った。


 先日の綾邊の授業は僕が慧子の分の出席カードも出していたので、単位は落とさずに済むようだ。


 学生の取ったノートが要らないぐらい、綾邊の授業は単純で、簡単に単位が来ると聞いている。


 僕たちは今年の後期は運がよかった。


 研究も充実しているし、慧子が風邪を引いたのだけは誤算だったが、後は上手くいっている。


 午前九時の開所に間に合い、僕たちは上原研究室で、パソコンの前に座って電源を入れた。


 その日の監督は佳久子で、僕はなるだけ目を合わさないようにしている。


 あの体験が身に染みていたので……。
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