素直に
 この関係に変化はないのだった。


 世の中、言わない方がいいことがたくさんある。


 人間は成長していけば、自然とそういったことまで分かるようになるのだ。


 僕は辛子ソースの利いた豚カツを食べながら、ご飯を掻き込み、味噌汁を啜る。


 食堂内は相変わらず慌しい。


 僕も慧子もゆっくりする間もなく、午後からも引き続き、研究室に詰め続けるつもりだ。


 僕たちは学食で食事を取って、栄養を補給した後、出入り口に向けて歩き出す。


 コーヒーでしっかりと目が覚めていたので、後の時間は研究資料を集めることに専念する。


 僕自身、学校での授業に加えて、家庭教師のバイトもあるのだし、彼女も何かと忙しいようだった。


 休む間もなく毎日を過ごす。


 淡々とした日々が続き、十一月の中旬になった。


 冷え込んでいる。
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