素直に
「ええ。でも、あたし、あの作家さん嫌い。人間的に滅茶苦茶だったから」


「俺は案外そういった人に惚れ込むんだよな」


「そう?あんまり深入りすると、まずいわよ」


「それは分かってるけどな」


 僕がそう言って、近くにいた店の従業員に、


「コーヒーのお替りいいかな?」


 と訊いた。


「お待ちくださいませ」


 一見して長い黒髪と思われる髪の毛を帽子で隠した女性がカップを持ち、厨房へと入っていく。


 ここのカフェは定額を支払っておけば、飲み物は飲み放題なのだ。


 こういった場所が学生にとって絶好のオアシスとなる。


 僕たちにとっても。
< 129 / 204 >

この作品をシェア

pagetop