素直に
「俺、大学なんか行きたくないからね」


 と言い切った。


 これが本音なのである。


 僕が、


「これがご子息のお気持ちとお受け取りください」


 と言い、口をキュッと真一文字に結んで、前にいる裕香子と哲史の両方を見つめた。


「分かりました」


 裕香子が頷き、勇太君に、


「バンド何か知らないけど、しっかり頑張りなさいよ」


 と言い、面談は終わる。


 勇太君は一応、高校までは卒業するつもりだったらしいが、大学進学を断念して、バイトをしながら、音楽活動をするようだ。


 今、高卒で働ける場所など、きつさや汚さなどを考えなければいくらでもある。
 
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