素直に
第28章
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 自宅マンションに帰り着き、部屋の扉を開けると、辺りは寒かった。


 僕はすぐに暖房を入れ、室内を温める。


 さすがにこんなに寒いと、風呂に入るのはしんどい。


 だけど、新陳代謝が激しい青年はちゃんと入浴しておかないと、汗や脂で汚れている。


 僕自身、このマンションに住み始めてから、もう三年近くになる。


 マンション周辺に何があるのかは、ある程度知り尽くしていた。


 さすがに三年住めば、勝手も分かってしまう。


 近くにスーパーがあって、午後七時から八時の間は惣菜が半額だ。


 僕はその手のスーパーを利用し続けている。


 そこで週に一度か二度ぐらい、まとめて買い物するのだ。


 僕自身、実家からの仕送りは一切ない。


 オヤジは施設に入れてしまったし、母も亡くなっている。

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