素直に
 それに妹の由梨絵も実家を離れて、一人暮らししているからだ。


 僕にとって頼れるのは、慧子ぐらいなものだった。


 愛情は自然と増す。


 僕は最愛の人を大学で見つけることが出来て、とてもよかったと感じている。


 これから先、慧子とは長い付き合いになるだろう。


 互いに同じ院に在籍するつもりだし、研究対象も似ているのだから……。


 ドイツに行くことこそないかもしれなかったが、僕たちは互いにある程度研究実績を積んだら、一緒になるつもりでいた。


 つまり結婚という選択肢である。


 家庭を作るのは実にいいことなのだから……。


 確かに元々他人同士の男女が一つ屋根の下で暮らすのは、最初抵抗があると思う。


 だけど、僕は慧子を守り抜くことが出来ると感じていた。


 夕飯にお湯を沸かして、具材の野菜を切り、味噌汁を作る。

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