素直に
するのだ。


 これはここ数年、日本中の各大学が一斉にし始めたことだった。


 僕も慧子もこの綾邊の悪辣(あくらつ)な授業には星五つの評価で、最低の星一つを付けている。


 さすがに綾邊も今年前期で受講する学生からきつい評価を受けたからか、後期はちゃんとした授業をするようになった。


 この綾邊の授業であるドイツ語原典講読は必須科目なのだが、出席しない学生も大勢いる。


 四年生でも取れるし、毎年担当教官が変わるので、この綾邊の担当する年に取らなくても、翌年に繰り越せた。


 僕たちは一応綾邊の授業には出席していたのだが、ゼミの方に重点を置いている。


 院に進学するには、試験の総得点の三分の一を占める英語も大事なのだが、いかんせん専門の知識の方が重要だったからだ。


 僕も慧子もゼミのある日は必ず参加していた。


 上原一洋先生は、僕たちが一番聞きたいことを話してくれる。


 確かに上原先生は淡々と学生の報告を聞きながら、研究の査定をしていたのだが、結構
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