素直に
「はい」


「どうやら軽い自律神経失調症のようですね」


「自律神経失調症……ですか?」


「ええ。最近、学生さんでもそういった方が多くてね。私ら医者としても病名は付けられませんが、あなたのように体に変調を来たす人にはそう申し上げてるんですよ」


「へえー……」


 僕は意外だった。
 

 自分が心の病に掛かっているとは。


「何かストレスのようなものは感じませんか?」


「まあ、多少は……」


 院の試験が来年に控えていて、おまけに佳久子とのトラブルもあり、学科内で何でも話せる人が慧子ぐらいしかいないのは分かりきっていた。


「ちゃんと話してね」


 精神科のドクターがそう言う。
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