素直に
「河岡さん」


 と、薬剤師が呼ぶ声が聞こえてきた。


「あ、はい」


 僕が立ち上がり、カウンターまで歩いていく。


 ワープロソフトで打たれて添付されていた薬の説明書を見ると、横文字が並んでいて、効能や副作用まで記してある。


 どうやらドクターが言ったように軽めだった。


「ありがとうございます」


 僕がそう言って薬代を支払い、外へと向かう。


 冷えていた。


 寒風が身に染みる。


 十一月も終わり、直に十二月へと入っていく。


 僕は何かと乱れがちな呼吸を整え、自宅マンションへと戻った。
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