素直に
 歩きながら、街全体が冬色に染まっているのを感じる。


 それから数日が経ち、十二月に入ってすぐに、僕も慧子も変わらず大学に通い続けた。


 さすがに自律神経失調症気味の僕は、夜の眠りが浅いようだ。


 だけど、ドクターが処方した薬は数日飲むと効いてきた。


 夜はなるだけゆっくりと休んで、朝早起きし、支度をしてからマンションを出、正門前で待ち合わせる。


 慧子は上下とも冬の格好だった。


 ロングコートにマフラーを付けて、ブーツで決めている。


 肌には軽くメイクをして。


 ルージュが引いてあり、マスカラも付けているようだ。


 僕が、


「おはよう」


 と声を掛けると、彼女が、

< 154 / 204 >

この作品をシェア

pagetop