素直に
「ああ、おはよう」


 と返す。


 毎朝、午前九時前には正門前で慧子が待っていた。


 僕たちは揃って大学構内へと入っていく。


 上原研究室は朝九時から開いている。


 研究生用に、ちゃんと全てのマシーンが立ち上げられていた。


 僕たちは各々椅子に座ると、学生認証用のIDとパスワードを入力する。


 そしてログインしてから、ネットに繋ぎ、文献を見始めた。


 検索エンジンで必要な情報を探り、差し込んでいたフラッシュメモリに順次落とす。


 講義があるときは、いったんパソコンから離れる。


 この研究室のパソコンは機能が充実していて、離れると、自然にセーフモードに入り、自動でログオフされるのだ。


 僕たちは実に恵まれている。

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