素直に
「今でもそんなことある?」


「ああ。君を無性に抱きたくなることがあって」


「それはあたしを想ってくれてるから?」


「うん。それに俺も中学とか高校のときは同級生の女の子たちと付き合いなかったからな」


「珍しいわね。あたしなんか、異性が回りにたくさんいたわよ。ずっとね」


「だから君は恋愛に関して慣れてるんだ?」


「ええ。……でも知らなかった。栄司にそんな過去があったなんて」


「俺もこんなことってなかなか話せないんだけどな」


「それはそうよ。話したら煙たがる子だっているんだから」


 慧子がそう言ってフフフと笑う。


 僕も釣られて笑った。


 ケーキはすでに食べ終わっていて、コーヒーがカップにいくらか残っている。


 僕はそれを啜り取ると、
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