素直に
験も一月下旬には無事終了する。


 僕たちは揃って大学に通い続けていた。


 進級できるのはほとんど確実な状態だったし。


 僕も慧子も研究室で朝から夕方までパソコンを見続ける。


 ディスプレイは目がちらつくが、仕方ない。


 大学の研究でも、情報源はネットが主流となっているからだ。


 僕たちは二月のバレンタインも一緒に過ごした後、四年生になる春を迎える。


 キャンパス内は桜が咲き誇っていた。


 木々の先端には桃色の蕾が付いていて、それが開く。


 それも一週間ほどで落ちてしまい、一ヶ月も経てば新緑の季節となったのだが……。 
 

 僕も慧子も大人になったような気がする。


 何か一回りも二回りも成長したように感じていた。


 まあ、お互い成人しているのだから、大人同士であるのは当然なのだけれど……。
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