素直に
 僕たちは四年生の一年間、二十二歳という若さ溢れんばかりの時代をキャンパスで送った。


 実に充足した一年間だった。


 僕も慧子も会うたびに互いが成長していくのが手に取るように分かっていたし、実際、何も文句はない。


 そして四年生の後期の授業が終わってしまってから、僕たちはお互いの部屋で院試の勉強をした。


 過去問を解きながら、出題パターンを覚え込む。


 院の試験は二〇一二年の三月初旬で、卒業証書を受け取ってから、試験が行なわれた。


 試験を受け終わってから、僕たちは結果を待つ。


 どういったものになるのだろうかと考え続けながら……。


 卒業式は大学の大講堂で行なわれ、学科の生徒が皆で揃って記念写真に写る。


 慧子も袴姿で、ケータイのカメラを使い、仲間たちの晴れ姿を撮り続けた。


 要は大学生活も今日で終わり、院試に受かっていれば、来月からめでたく院生となるのだ。
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