素直に
りと勉強するつもりでいる。


 一次試験は筆記試験と論文査定で、二次試験は口述試験だった。


 僕自身、試験勉強は修士の二年に進学したときからしていたし、何かと優等生で通る慧子も修士課程が終わる半年前から取り掛かっていたようだ。


 僕は慧子と専攻が違うのだが、同じドイツ研究として重なる部分はある程度あったので、二人で勉強することもあった。


 博士課程の試験は修士のときと同様、三月の下旬だった。


 博士の試験まで行くと、手応(てごた)えなどはあまり関係なく、ほとんど出来レースに等しい。


 確かに他大学の院生が試験を受けに来ることもあるにはあるようだった。


 だけど少子化の影響で、博士でもほぼ全入に等しいようだ。


 僕たちは試験が終わった当日、久々に学内のカフェに行ってお茶を飲んだ。


 お互い二十五歳で、大学時代の仲間たちはほとんど修士ぐらいまで終われば、一般企業などに就職したり、ドイツ語学校などで教鞭(きょうべん)を取ったりする人間が大勢いるようだ。


 僕たちにはまだモラトリアムが三年間ある。

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