素直に
 博士の試験に受かれば、の話だが……。


 一次試験は余裕で通っていたので、二次の合否通知が来るのを待っていた。


 三月も終わりで新年度が来る頃に、僕は修士のときと同様、郵送されてきた二次の合否通知を見ることになる。


 もし受かっていれば、慧子にもすぐに知らせるつもりでいた。


 ここが運命の分岐点なのだから……。


 そして明るい未来のスタートとなることを願って……。


 僕には素直にそう思えた。


 おそらく慧子も同様だろうと思う。


 互いに二年間、院で鍛錬(たんれん)され続けてきたので……。
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