素直に
 ビニールの袋を提げながら、丘へと向かう。


「フゥー」


 慧子が丘でも一番草の匂いがする場所に座り込み、軽く息をついて、


「二十八歳にでもなれば、もうオバサンかしら?」


 と言った。


「まだ若いじゃん。俺だって肉体的な年齢は二十八歳だけど、気持ちは十七歳だよ」


「栄司っていつも冷静ね」


「ああ。……おまけに楽観的だしな」


「あたし、栄司がそういうドライなところがあるのを知ってるけど、そんなところも含めて好きになりそう」


 慧子が頷く。


 丘の上で互いに缶ビールのプルトップを捻り開けて、


「お疲れ様」

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