素直に
「俺も同じだよ。ドイツ語を生かす仕事をしたいって思ってる」


 僕が笑うと、慧子が炒め物を食べ終わったようで、


「あたし、お腹一杯」


 と言った。


 僕もさすがに食事を取り過ぎたので、幾分出始めていた腹を触りながら、ゆっくりと息をつく。


 慧子も箸を置いて、リビングの床に寝転がり、食後の休憩を取っているようだった。


 互いにやりたいことは分かっている。


 僕が彼女に抱き付こうとすると、


「まず、歯磨いてからよ」


 と言い、一瞬後に笑顔を見せた。


 僕が洗面台へと行き、慧子が用意してくれていた歯ブラシで歯を磨き出す。


 ブラシに歯磨き粉を付けて、歯を磨き始めた。

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