素直に
 互いに一糸纏(まと)わぬ状態で愛し合い続ける。


 口付け、撫で合い、そして刺激という一連の手順を経、僕たちは接近させていた体同士を更に近くし、交わり合う。


 行為自体は順調に進んでいった。


 くどいようだが、単に僕たちが若いから情熱的な愛情表現が出来るというわけじゃない。


 むしろいつも一緒にいても、手を繋ぎ合い、熱を移し合って感じ取ることしかしていないから、行為となってくると自然と求め合うようになるのだ。


 頭の中で、僕はどんな風にして慧子をオーガズムに持っていくか、考え続けていた。


 交わりながら、絶えず頭を回転させ続ける。


 感じ合っているのは紛れもない事実だ。


 僕が彼女の体のあらゆる場所を撫でると、一頻(ひとしき)り声が上がる。


 僕も慧子も一対の男女として、成熟しつつあった。


 僕たちは貪(むさぼ)るようにして求め合う。


 さすがに夏ほどの陽気はないにしても、僕も彼女も幾分涼しさが増した初秋に抱き合い
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