素直に
 彼女はまだ寝ぼけている。


 僕がそんな慧子に眠気覚ましのコーヒーを淹れてあげるため、先にキッチンへと入っていく。 


 そしてお湯を沸かした。


 彼女の部屋は台所が狭い。


 これが一人暮らしの女子大生の部屋だろう。


 あまりこれと言って飾るようなものはなかった。


 僕もキッチンを見渡しながら、


「あんまり、いろいろないね」


 と言う。


「ええ。冷蔵庫に肉と野菜入れてて、後は牛乳と野菜ジュースと卵ぐらいだけだし」


「そう?食材は買い込んでないんだ?」


「そうよ。買い物に行くのだって疲れちゃうし」
 
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