素直に
 そして大学時代というのは、往々にして世間に揉まれ始める頃だし……。


 まあ、熱い血潮もあるにはあるのだが……。


 僕たちは秋光大の正門を抜けて、学内へと入っていく。


 平日で講義がないが、学生はたくさんいた。


 秋光大学はマンモス大学で、学部は一応全て揃っている。


 特に理系が充実していて、医学部や薬学部などもあった。


 医科系の学部や学科が不足している日本において、医者や薬剤師、看護師などを育てる教育機関は必要だ。


 僕たちはさすがにそういった方面の人たちとはまるで接触がなかったのだが、社会人になると、合コンなどで医者が何かと贔屓(ひいき)にされるのは知っていた。


 医者は基本的に高収入の仕事なので、女性側としても憧れるらしい。


 まあ、そういったものに飛び付きたがる女性たち自体が馬鹿げているのだったが……。


 僕たちには無関係の世界だ。


 慧子と揃って研究室に入っていくと、
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