素直に
 考えてみれば、上原教授も秋光大の院を修士まで終了して、その後、働きながら論文で博士号を取ったと訊いている。
 

 かなりプレッシャーがあったのだろうし、きつい思いをされたらしい。


 逆にそれが学生を惹き付けて止まない性格なのかもしれない。


 ご苦労の経験が結実したというか……。


 僕はその日、お昼まで研究室でじっとパソコンのディスプレイを見続けていた。


 昼過ぎに慧子が、


「学食行こうよ」


 と誘ってくれたので、僕が頷き、パソコンの電源を落として立ち上がる。


 お腹が空いていたのでちょうどよかった。


 僕たちは学内にある学食へと向かう。


 さすがにマンモス大なので、敷地は広かったのだが……。
< 49 / 204 >

この作品をシェア

pagetop