素直に
 別に新歓コンパなど、先輩たちが酒を飲みに来るだけだから、面白くない。


 僕たちはキャンパス出入り口まで歩いていき、僕がふっと振り返って、慧子を抱き寄せた。


 そして彼女の唇に自分のそれを重ね、口付ける。


 慧子も応じ、僕たちは無我夢中でキスし合った。


 春の夜で生暖かかったことを未だに覚えている。


 それに交わした口付けの甘さも。


 僕たちは素直に互いの想いを体現できた。


 正門を抜け、僕と慧子は手を繋ぎ、歩いていく。


 僕はその日の夜、彼女の部屋に泊まり、濃密な一夜を過ごした。


 春の夜で、僕は遠慮なしに慧子の中へと入っていく。


 互いに性行為に関しては一通り体験を済ませていたので、躊躇(ためら)いはない。


 一夜が明けて、朝になると、僕たちはモーニングコーヒーを一杯ずつ飲んだ。


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